アバターのリギングについて(補助ボーン)
こんにちは。トータルクリエイト部のきのこです。今回は前々回からお話をしている、アバターを動かすためのリギングの作業の中の補助ボーンについてお話をしていきたいと思います。
補助ボーンについて
まず始めに補助ボーンについて説明していきます。
補助ボーンとはモデルの腕の骨を上下させると肩や脇が凹みすぎてしまうなど、骨を動かすことによって発生する過度な変形を防ぐために追加する骨です。
過度な変形を防ぐ以外にも、髪の毛や服などキャラクターの体以外に動くものを自然にアニメーションする際にも使用します。
今回も文章だけでなく実際に補助ボーンを付けたアバターの画像を使用して説明を行っていきます。
補助ボーンの追加方法
画像は「メタバース×HPスターターパック版」の女性アバター(カジュアル)です。
右半身は補助ボーンなし、左半身は補助ボーンありで用意しました。赤い四角の中にある骨が補助ボーンです。画像のポーズでは補助ボーンの有無でモデルにどのような影響が出るのか分からないかと思いますのでポーズを変えてみます。
両腕を下げた状態です。体のラインに被って見えづらいため一旦左半身の補助ボーンを非表示にしています。両腕を下げて見てみると補助ボーンの付いている左半身に比べて右半身の脇の下部分が凹みすぎているかと思います。これが過度な変形です。それではこの過度な変形を直すために右半身にも補助ボーンを作成していきます。
まず補助ボーンを追加するためにすでにある骨を選択してからBlenderのモードを編集モードに切り替えます。モードを切り替えてからShift + Aで骨を一本追加して、過度な変形を発生させたくない箇所、今回の場合だと右半身の脇の下に移動させます。
移動やサイズ調整を行った後、追加した補助ボーンに前々回お話したウェイトの作業を行います。しかし、ここまでの作業では新たに追加された補助ボーンがアバターの体にまだ割り当てられていないので、ウェイトの作業でアバターの体に影響を与えることができません。そのため、ウェイトの作業の前に補助ボーンをアバターの体に割り当てていきます。
Blenderのモードをオブジェクトモードに切り替え、アバターの体と骨の両方を選択します。選択する際はアバターの体→骨の順番に選択してください。
選択してから右クリックを押し、上の画像のようにペアレント→空のグループを選択します。
これで新たに追加した補助ボーンもアバターの体に割り当てられたため、ウェイトの作業を行うことができます。
さっそくウェイトを行っていきます。追加した補助ボーンを選択して、先ほど両腕を下げた際に凹んでしまった脇の箇所を割り当てていきます。実際にウェイトをしながら腕を下げてみるなど骨にポーズを付けてウェイトを行うと過度な変形が起きる場所が分かりやすいので、色んなポーズを付けて作業を進めてみてください。
ウェイトの作業が終わると補助ボーンの追加は終了です。両腕を下ろしてみると補助ボーンを追加する前は凹んでいた右半身も綺麗な形になりました。
今回の説明では過度な変形を防ぐための補助ボーンの追加方法を説明しましたが、それ以外にも補助ボーンは服や髪の毛などの揺れ物を動かすためにも使用できます。
今回説明に使用した「メタバース×HPスターターパック版」の女性アバター(カジュアル)はワンピースを着ているので、スカート部分を揺らすために補助ボーンを使用しています。
下半身の赤、黄、緑、青の色がついている骨がスカート部分の補助ボーンとなっています。
脇の凹みを防ぐ補助ボーンはアニメーション作成の際に動かす必要がないため非表示にしていますが、スカートの補助ボーンは動かす必要があるため骨ごとに色を付けて見やすくしています。骨の色を変えるにはBlenderのモードをポーズモードに切り替えてから、オブジェクトデータプロパティを開き、ボーングループの色セットから変更できます。
画像右側の+ボタンからボーングループを追加し、色セットをカスタム色セットにすることで好きな色に変更することができます。ボーングループの名前を変更することもできますので、作業をする際は個人で分かりやすいものに変更してみてくださいね。
今回はリギングの補助ボーンについてお話をしました。説明に使用した女性アバター(カジュアル)は「メタバース×HPスターターパック版」の選べるパッケージ内容からご覧いただけますので、ご興味がある方はぜひ見に来てくださいね。
メタバース×HP スターターパック版 (comfort-inc.co.jp)